ベランダ発電の回収年数を計算する
手すりにパネルを 2 枚、接続機器が 800 W、かかった費用は 10 万円。何年で元が取れるでしょうか。この計算機は、向きと角度と影から年間発電量を出し、待機電力から家の中で実際に使える量を割り出して、年間の削減額と回収年数、そして寿命までの差し引きを示します。
電力量料金には全国平均を入れてあります。ご自分の単価を入れれば、検針票に合った結果になります。
結果
回収まで
6.5 年
初期費用 80,000円 に対して年 11,782円 の削減
- 年間発電量
- 667 kWh
- 1 kWp あたり 758 kWh
- うち自家消費
- 380 kWh
- 自家消費率 57%
- 年間の削減額
- 11,782円
- ひと月あたりおよそ 982円
- 20 年後の差し引き
- 192,170円
- 削減額 272,170円 から初期費用を引いた額
- 使いきれなかった分
- 287 kWh
- 売電の契約がなければ収入にはなりません
- 年間消費量に占める割合
- 9%
- この設備でまかなえる分
- 最も多い月と少ない月
- 1 月 83 kWh · 6 月 28 kWh
- CO₂ の削減量
- 293 kg/年
- 手すりに垂直だと、傾けた場合より三分の一ほど落ちます。金具で 30° 傾けられるなら、その価値は十分にあります。
- すべて月平均からの概算です。天気、実際の影、生活の仕方によって 10〜20% は動きます。
計算の手順を見る
- 1年間発電量: パネル 880 W、南・手すりに垂直 (90°) (最適の 66%) = 667 kWh/年
- 2kWp あたりの発電量: 758 kWh/kWp
- 3800 W に対して 1.1 倍のパネル: 晴れた日の正午前後で切り捨て = 24 kWh/年
- 4待機電力 150 W での自家消費: 380 kWh/年 (発電量の 57%)
- 5使いきれなかった分: 287 kWh/年
- 6削減額: 380 kWh × 31円 = 初年度 11,782円
- 7回収年数: 80,000円 ÷ 11,782円 = 6.5 年
- 820 年で: 削減額 272,170円、初期費用を引いて 192,170円
計算のしくみ
ベランダ発電が得になるのは、作った電気を 家の中で使ったとき だけです。ですからこの計算機は自家消費率を決め打ちにせず、その日の発電の出方と家の待機電力を突き合わせて計算します。
年間発電量 [kWh] = パネル出力 [kWp] × 日射量 × 方位係数 × 影の係数 × システム効率
自家消費 = 発電のうち待機電力を下回っている分
削減額 [円/年] = 自家消費した kWh × 電力量料金回収年数 = 初期費用 ÷ 年間の削減額向きと角度でここまで変わります
基準は南向きに 30〜35° 傾けたパネルです。それ以外の置き方では一部しか取れません。ベランダの手すりに垂直に固定する、いちばん多い形では三分の二ほどになります。
| 向き | ほぼ水平 (10°) | 傾斜 (35°) | 垂直 (90°) |
|---|---|---|---|
| 南 | 92% | 100% | 66% |
| 南東 / 南西 | 90% | 94% | 61% |
| 東 / 西 | 84% | 78% | 45% |
| 北東 / 北西 | 78% | 59% | 25% |
| 北 | 75% | 50% | 13% |
日本では「系統につながない」のが普通です
ドイツのように、パネルをコンセントに挿して家の配線に流し込む方式は、日本では一般的ではありません。系統につなぐには電力会社への連系の申し込みが必要で、工事も電気工事士の仕事になります。日本のベランダ発電はたいてい、パネルでポータブル電源を充電し、その電気を家の中で使う形です。この計算機はどちらの形でも使えますが、売電をしない前提であれば「余剰電力の買取価格」は 0 のままにしてください。
数値で見る例
集合住宅でよくある形です。440 Wp のパネル 2 枚で合計 880 Wp、800 W の接続機器、南向きの手すりに垂直に固定、午後に少し影がかかります。待機電力 150 W の世帯で、一式 10 万円。
入力値
- パネル出力: 880 Wp
- 接続機器の出力: 800 W
- 向き: 南
- 取り付け方: 手すりに垂直 (90°)
- 影: 少し (短時間、端のほうだけ)
- 地域: 日本 – 関東 (東京)
- 世帯の待機電力: 150 W
- 年間の消費電力量: 4,300 kWh
- バッテリー (任意): 0 Wh
- 初期費用: 80,000 円
- 電力量料金: 31 円/kWh
- 余剰電力の買取価格: 0 円/kWh
- 電気料金の年間上昇率: 2 %
- パネルの年間劣化率: 0.5 %
- 計算する期間: 20 年
- システム効率: 80 %
結果
6.8 年
回収まで
- 年間発電量
- 608 kWh
- うち自家消費
- 363 kWh
- 年間の削減額
- 11,246円
- 20 年後の差し引き
- 179,793円
- 使いきれなかった分
- 245 kWh
- 年間消費量に占める割合
- 8%
- 最も多い月と少ない月
- 1 月 78 kWh · 6 月 25 kWh
- CO₂ の削減量
- 268 kg/年
計算の手順
- 年間発電量: パネル 880 W、南・手すりに垂直 (90°) (最適の 66%) = 608 kWh/年
- kWp あたりの発電量: 691 kWh/kWp
- 800 W に対して 1.1 倍のパネル: 晴れた日の正午前後で切り捨て = 14 kWh/年
- 待機電力 150 W での自家消費: 363 kWh/年 (発電量の 60%)
- 使いきれなかった分: 245 kWh/年
- 削減額: 363 kWh × 31円 = 初年度 11,246円
- 回収年数: 80,000円 ÷ 11,246円 = 6.8 年
- 20 年で: 削減額 259,793円、初期費用を引いて 179,793円
入力値の説明
- パネル出力 (Wp)
- 定格出力の合計です。よくある構成は 440 Wp × 2 枚で 880 Wp。パネルを増やすのは、切り捨てが小さいうちは得になります。
- 接続機器の出力 (W)
- 家側に流せる上限です。ポータブル電源を経由する場合は、その充電入力の上限にあたります。
- 向きと角度
- 二つ合わせて、最適に対する割合が決まります。手すりに垂直だと夏は落ちますが、冬は相対的によくなります。太陽が低く、面にほぼ正面から当たるためです。
- 影
- 隣のベランダ、樹木、庇など。部分的な影でも影響は大きく出ます。いちばん弱いセルに引きずられるからです。
- 待機電力 (W)
- いつも動いているもの。冷蔵庫、ルーター、待機中の家電です。その場で使える量を決める数字で、ふつう 80〜300 W です。
- バッテリー (Wh)
- 任意です。昼の余りを夜に回します。夜に使う量を超える容量を入れても意味がありません。
- 電力量料金 (円)
- 検針票に書かれている単価です。初期値は全国平均ですので、ご自分の単価を入れるとぐっと正確になります。
- 初期費用
- パネル、接続機器、金具、ケーブル。バッテリーや工事費があればそれも含めてください。
よくある間違い
- 発電量と自家消費を混同してしまう。得になるのは家の中で使った分だけで、売電契約がなければ残りは行き場がありません。
- 定格出力をそのまま信じてしまう。880 Wp の年間発電量は置き方次第で 450〜1,050 kWh、880 kWh に決まるわけではありません。
- 垂直設置と傾斜設置を同じに考えてしまう。手すりに垂直だと、傾けた場合より三分の一ほど落ちます。
- 影を軽く見てしまう。午後だけ木の影がかかるだけで、年間発電量の四分の一を失うことがあります。
- バッテリーの値段を初期費用に入れ忘れる。自家消費は増えますが費用も増えます。同じ計算に入れてください。
- 電気料金の値上がりを前提にしてしまう。計算上は回収が早まりますが、将来の見込みでしかありません。
前提と限界
- 待機電力は一定として計算します。実際には調理や洗濯で山ができ、自家消費はもう少し増えます。計算は控えめな側に立っています。
- 一日の発電の出方は、その月の日の出から日の入りまでを半正弦波で近似し、晴れの日と曇りの日に分けています。特定の設備を正確に知りたい場合は、時間別のシミュレーション (PVGIS) が必要です。
- 発電量は PVGIS (2005〜2023 年の平均) の地域別の基準地点の値です。実際の場所では数パーセント変わります。地形による日陰は含まれますが、建物や樹木の影は含まれません。そのための項目が「影」です。
- バッテリーは夜に放電できる分までしか充電しません。往復効率は 90% としています。
- 保守、保険、撤去の費用は含まれていません。補助金も自動では適用されません。
- 税務や法令の助言ではありません。系統への連系、管理規約、台風への固定は別に確認してください。
よくある質問
ベランダ発電の元は何年で取れますか
10 万円の一式を南向きの手すりに垂直に設置し、待機電力が 150 W の世帯なら、日本の電気料金でおよそ 7 年です。決まるのは三つの数字、初期費用、電力量料金、そして自家消費できる割合です。日中に在宅している世帯はもっと早く回収できます。
800 W のセットは年間で何 kWh 発電しますか
置き方と地域によって 450〜1,050 kWh です。東京で南向きに傾けると 1 kWp あたり約 1,200 kWh、手すりに垂直なら約 790 kWh になります。東向きや西向きはその中間、北向きは大きく下がります。
一年でいくら安くなりますか
削減額 = 自家消費した kWh × 電力量料金です。690 kWh 発電して 65% を自家消費し、単価が 31 円なら、年におよそ 13,900 円になります。日中に家にいる世帯や、待機電力の大きい世帯ではもっと増えます。
なぜ自家消費だけが効くのですか
日本のベランダ発電は系統につながず、ポータブル電源を経由して使う形がほとんどです。売電の契約がなければ、その場で使わなかった電気は行き場がありません。だから待機電力の大きさがいちばんの決め手になります。
バッテリーを足す価値はありますか
自家消費率は目に見えて上がります。例では 65% から 80% 以上になり、削減額もそれだけ増えます。ただしバッテリーが 6 万円なら、回収は結局のところ延びます。容量 と その値段を同時に入れて、まとめて計算してください。
800 W の機器に何 W のパネルをつなげますか
定格出力はまず出ませんから、パネルを大きめにするのは理にかなっています。ただし接続機器の 1.3 倍を超えると、晴れた日の正午前後で切り捨てが出はじめます。市販のセットは 800 W の機器に 1,000〜1,200 Wp のパネルという構成が多く見られます。
手すりに垂直に付けるとどれくらい取れますか
同じパネルを南向きに傾けた場合の三分の二ほどです。そのかわり冬の割合は相対的によくなります。太陽が低いためで、冬の電気はもともと自家消費しやすいという利点もあります。
ベランダ発電に届け出は必要ですか
系統につなぐなら、電力会社への連系の申し込みが必要で、工事も電気工事士が行います。パネルでポータブル電源を充電して使うだけなら、その手続きは要りません。ただしマンションの場合は管理規約を確認してください。ベランダは共用部分で避難経路でもあり、避難ハッチや隔て板をふさぐ置き方はできません。
台風のときはどうすればよいですか
ここが日本でいちばん大事な点です。手すりに付けたパネルが飛べば重大な事故になります。取り付けは風速を見込んで設計し、接近が予想されるときは取り外せる構造にしておくのが安全です。折りたたみ式のパネルなら、そのまま室内に入れられます。
初期値の電力量料金はどこから来ていますか
大手電力 10 社の従量電灯の水準にもとづく全国平均です。実際の単価は検針票に書かれていますので、それを入れるとずっと正確になります。数字を書き換えるだけで反映されます。